2021/4/26
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難!止まり穴のキー溝加工(スロッター) |
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『止まりの穴にキー溝が付いた軸継手』の加工依頼をお客様から頂いたので製作しました。 牟田鉄工では止まりの穴に付くキー溝加工は『スロッター』で加工していて、過去何度も同様の加工を実施して来ました。 そして今回もいつも通りの流れで段取り&加工するつもりでした。 んが! 今回は状況が少し違いました。 キー溝の長さがバイトの長さに対してかなり深かったのです(^^;) 更にヌスミ穴と底面までの余裕がほとんど無い!というものでした。 今回キー溝加工をする軸継手。 スケールを入れ忘れましたが、軸の真ん中付近にあるヌスミ径は9mmで、 ヌスミ穴の最下位置が軸穴の底面になっています。 キー溝の深さが浅ければ既存のバイト(全体がハイスの一本バイト)を使って加工可能でしたが、深いので長いバイトを作るしかありません。 しかも!ヌスミ穴位置と底面との余裕がほとんど無いので上手いことバイトを作る必要があります。 一本バイトが使えれば底面との余裕が数ミリでも大丈夫なのですが、バイトホルダーにバイトをセットするとなるとそう簡単には行きません。 と言うことで、バイトホルダーの形状を設計して製作し、それに取り付けるバイトも丁寧に作りました。 今回設計・製作したバイトホルダーとバイト。 バイトホルダーの長さを長くすればする程深い溝に対応できますが、 その分スロッター時の加工条件がどんどん悪くなるのでバランスが大事になります。 バイトの角度やバイトの固定方法を工夫しました(^^) と言うことで、作ったバイトをスロッターにセットして加工に挑みます! ①加工対象となる軸継手の通りをケガキ線を頼りにスロッター上で出し ②バイトの刃の通りを①と同じくケガキ線を頼りに出し ③バイトを降ろす位置を調整 ④加工 という流れで行うのですが、止まり穴のキー溝加工で何と言っても最大の考慮すべきは『③バイトを降ろす位置』になります! 今回、バイトをヌスミ穴中心まで降ろした場合、バイトホルダーと軸穴底面とのクリアランスは『2mm』しかなく、少しでも深く降りてしまうとバイトが穴底面に突き当たり大惨事になってしまう為、慎重に慎重に高さ位置決めを行います(^^;) また、加工途中に切粉が排出できずに軸穴底面に詰まってしまうと、バイトホルダーが切粉を押し潰して突き当てたような状況になるので、加工中頻繁に切粉排出を行う必要があります。 また、バイトの高さ調整が最も大事になるのですが、それ以外で②の『刃の通り出し』も実は調整がかなり職人技になって来るのでもっと簡単に調整できる方法は無いものか?と考えております(^^;) スロッターに軸継手とバイトをセット! 高さ調整が一番気を遣う所です。 加工はいつも通りに行いますが、バイトが小さいと砥ぎ方一つで切れ味が極端に変わるので丁寧にバイトを砥ぎます。 荒加工。バイトの切れ味は良好でスムーズに加工ができています(^^)/ ダイヤルゲージ等を使って図面の指示公差に入るように丁寧に加工し、正確に公差内に収めていきます。 図面公差は±0.01mmで、狙いは+0.01。 そしてシリンダーゲージで加工後測定した所、+0.01mmでした!(^^)v 加工前(左)と加工後(右)。 無事に2個、キー溝加工完了です! 平行キーを単独で入れて確認したところ溝にスムーズに入ったのでキー溝幅と平行キーの関係は問題無し!となりましたが、平行キー付きの軸が入った時にちゃんと入るのか?が大事なため相手軸の模範ゲージを作る事にしました。 製作したキー溝付き軸の模範ゲージ。 この模範ゲージでスロッター加工の精度を確認します! 入り口はスーッと入り・・・ 見事!何の手入れ修正も必要なく一発で最後まで入りました!!(^^)v ケガキ線の精度とスロッターでの加工精度の両方がバッチリ出ていたようです(^^) キー溝加工の後、マシニングで写真の形状に加工。 今回は、キーの加工長さが長く、底面とのクリアランスがほとんど無いという加工し難い止まりのキー溝でしたが、工具を工夫しながら製作した甲斐あって無事カタチにすることができました(^^)/ |
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